以前、何かの番組で元女子サッカー日本代表の澤穂希さんが言ってたんだけど

『技術を教えることはできるけど、センスだけはどうやっても教えられない』。

これね、本当にそう。

これ聞いた時に、クビがもげるぐらい頷いた。

 

って別に、私がセンスがある人間だとは思わないんだけど

まぁでも、ここまで放送作家として仕事を続けてこられているのだから

何かしら文章を書く能力ってのはあるのだろう。

と、ようやく思えるようになってきたけど。

で。

たまに、若いディレクターさんとか作家さんに

『ナレーションや原稿を書くコツを教えてください』って言われるんだけど

マジで困る。

そんなもん、教わろうと思ってる時点でアウトだろ〜と昭和の職人は思うのだが

最近の人は、教わるもんなのか?

私に弟子という存在がいないから、今まで「教える」という行為に対して

とても曖昧に捉えてきた部分はあるんだけど、

いやしかし、私だって明確に先輩たちから手取り足取り

原稿の書き方を教わってきたわけじゃない。

どうやったら盗めるか、どうやったら先輩みたいに書けるのか

もうそれは、自分で考えて、自分で実践していくしかないんだよなぁ。

で、それをどうやって『自分カラー』にしていくか。

それがセンスってやつじゃなかろうか。

同じ会議に出ていても、同じようにニュアンスが掴めない人とかいるんだけど

それはもう、諦めた方がいいよ。

誰かに懇切丁寧に説明してもらって理解しているようならば

この世界では、辛いと思う。お互いに。

 

あぁ〜。でもね。

『どうしたらそんなに早く、原稿が書けるようになるんですか?』

っていうのには、明確な答えがある。

それは、書けば書くほど早くなる。

ちなみに私は、自他共に認める『原稿を書くのが早い作家』です。

20代、30代と生放送の仕事を多くやっていたので

それこそ毎日のようにナレーション原稿やスタジオ台本を書いていて。

圧倒的な量を書き続けてきた。しかも限られた時間の中で。

原稿を書くことで語彙も増えるし、表現のパターンも増える。

選択肢が増えるということが、仕事のスピードが上がることにつながる。

 

書けば書くほど、答えが見つかる速度が早くなる。

言ってることがよくわからない?

じゃぁもう、諦めたまえ。

『自分は原稿を書くのが遅くて…』という人は

自分の能力に対して、努力の量が足りてないだけだと思う。

 

クリエイティブな仕事って、

ふんわりしていて楽しそうってイメージがあるかもだけど

実際にはものすごく根性論だし、追い詰められるし。

でも、それも含めて楽しめる人だけが、残ってるんだろうなぁ。

なーんてね。

最近、ずっとこんなことを考えていたので。

とはいえ。

私もまだまだ勉強やら努力の日々だけど。

だって、どんどん新しいパターンの仕事が出現する。

いつまでも柔軟に対応できるような柔らかい脳みそでいたいもんね。

 

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