友だちとちょっと色々やりとりをしていて。

その友だちが『自分は感情に支配されたくない』みたいなことを言っていたのを聞いて

『あぁ、でもこの人は”感情”を認識することはできるんだ。できるから、排除するのか。』と思って。

私はどちらかというと、その時に感じたことを大切にするしなんならメモするぐらいだし

そうやって仕事にも繋げてきたから、こういう人もいるのかぁとなんだか新鮮だったけど。

いやしかし。

ものすごく身近に、この友だち以上に『感情が”理解”できない人』がいましたよ!!!

そう、旦那ちゃんです。

この友だちの話を聞いていて、出会った頃の旦那ちゃんを思い出しました。

 

皆さんご存知の通り、旦那ちゃんはコミュ障です。極度の人見知り。

そして自分の感情を『言語表現』で伝えるのが得意じゃない。というか苦手。

だから、他人との関わりを極力さけて生きるようになってきたり、そういう背景があって。

(まぁ実際にはもっととても複雑なバックボーンがあるんだけど。)

出会った頃の彼は『他人の感情が理解できない』というか

『他人に感情があることがわからない』人でした。

常に最短距離で答えにたどり着こうとする。

自分一人で何かする時はいいけれど、自分以外の他者が介在していた場合

『彼にとっての最短距離』は『他者にとっての最短距離』ではないから

どうしても摩擦が起こる。

それが、理解できなかったのです。というか、興味ないし、知らないし。

だったらやらなきゃいい。僕と関わらないでほしい。みたいな。

本当にもう、山奥で狼に育てられた子供みたいでした(笑)。

 

で、私と出会って。

私は人一倍、エモーショナルな人間です。

感情で動くし、感情を『言葉』としてアウトプットする。

それもわかりやすく伝えることを生業としている。

そんな私と彼が出会ったら、そりゃ〜もう、お互いに戸惑うことばかり。

だって、正反対の場所にいるんだもん。

私は感情で相手を動かそうとする。だけど彼は、

合理的な判断だけで最短距離の答えがほしい。

どちらも間違いではないけれど、他人が介在する場合、

『ありがとう』って感謝の気持ちを伝えたり、『お疲れ様』ってねぎらったり、

時として『ごめんなさい』って謝ったり。

そういうネゴシエーションが必要だってことを、ものすごく根気よく彼に伝えました。

他人とコミュニケートするとは、そういうことだ、と。

そして彼は、他人の感情が理解できないから

『どんな言い方をしたら相手が嬉しいか』とか『怒るか』とか

そういうことが判断できないのです。自分の思ったことを思った通りにいう。

それが相手にどんな感情を抱かせるってことまでわからないし、知らない。

一方、私はとてもエモーショナルなのでいちいち怒るし喜ぶし。

『こういうこと言われたら非常に腹が立つ』とか

『こういう風に言われたらすごく嬉しい』ということをいちいち伝えました。

 

ここで一つだけはっきりさせておくと、彼は決してバカではありません。

なので、『他人の感情』という存在を知ったらそこから猛烈に興味を持ち、学びました。

ただ、基本的スタンスは変わらないから今でもコミュ障だし、言語表現は苦手。

 

あとはお互いに、こういう『ズレ』を『めんどうくさい』と思わずに

『新しい発見』だと思って楽しんだということ。

『旦那ちゃんはこんな風に表現するのか!』とか

『のんちゃんはこういうと怒るのか!』とか。

(最初の2年ぐらいはずっと怒っていた気がする)

二人の間に生じた『ズレ』を『新しい発見』って思うから

その発見をするたびに楽しくて面白くて、どんどん見つけたくなる・・・みたいな。

じゃぁ、二人の間に感情の摩擦を起こしてみよう・・・みたいな。

敢えて感情の摩擦を起こすとか、キチガイみたいだけど。

だけどそうすることで、

感情の『セーフティーゾーン』(どこまで言えば、怒るか&喜ぶか)ってものを彼は学んだし

私は感情をコントロールするってことの意味を学びました。

今思えばなんとも能天気な行為(笑)。まぁ、お互いに好きだからできたんだろうな。

 

そんなこんなで、ヘレンケラーに水を教えるサリバン先生のように

彼に他者との関わり方を説明し、私たち夫婦は、あるルールをつくりました。

『ありがとうとごめんなさいは、ちゃんと言う』。

これ、当たり前かもしれないけれど、意識していないと漏れちゃうこと多い。

とにかくどんな小さなことでも必ず『ありがとう』って伝えるし、

自分に非があったり、相手を傷つけたなと思ったら素直に『ごめんなさい』って謝る。

今では本当に、どんなことでも相手になにかしてもらったら『ありがとう』って言います。

彼が、『ありがとう』と『ごめんなさい』をちゃんと言えるようになった時。

そこでもう一つ発見がありました。

『ありがとうって言われることは嬉しい』。当たり前のことかもしれないけれど。

だから、『自分がされて嬉しいのならば、他人にもちゃんと伝えよう』と思って

私は何につけても感謝したらその場で『ありがとう』と言います。

一方で、素直に『ごめんなさい』と言える勇気も教わりました。

意地をはらない。

その人との関係性が大切ならば大切なほど、自分から関係修復を図る勇気を持つ。

まぁ、端的にいうと『素直になる』ってことなんだけどね。

でも、これって人間関係においてとても基本的なことだと思うんだ。

 

10年、一緒にいられることができたのも。

彼のそんなヘンテコなところを受け入れられたのも、彼がこうやって変化してくれたのも。

やっぱり根底には『好き』っていう気持ちがあって。

一緒にいたいから、じゃぁ、お互いに努力しましょうってことなんだよね。

別に好きじゃなければ、彼だってとっとと投げ出して

自分にとって心地よいスタンスで生きてけばよかったと思う。

そのスタンスで生きていても、きっと彼は仕事として才能を開花できただろうし。

もしかしたら私が余計なことをして『人間っぽく』しちゃったかも(笑)。

 

私はよく、『ありがとう』を多用すると言われます。

それは彼と暮らしてきた10年で見つけた宝物。

だって、『ありがとう』って言われて腹を立てる人はいないじゃない。

必要以上にことを複雑にする必要は、ないと思ったんだよね。

な〜んて、なんだか昔話を思い出してしまいました。あはは。

ちなみに、お写真は黄色い方が旦那ちゃんです。

 

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