番組を作る時に当然ロケや取材で様々な方たちにお世話になるのですが。

基本的に私たちは『取材させていただく』という姿勢で臨むようにしています。

少なくとも私の周りは。

私自身、新社会人としてスタートした時に

その辺の礼儀をとても厳しくしつけられる会社にいたので

ロケをしたりとりわけお世話になったりという方には電話ではなく

お礼状で気持ちを伝える…みたいなことを徹底して教育されたのです。

(私の手紙フェチはこの辺にも起因すると思いますが。)

先日、テレビ業界ではない友だちから。

『取材される側に、なんの得があると想定してやっているの?』

って聞かれて。

これは、彼がものすごく純粋な気持ちで聞いているのはよくわかるんだけど…。

取材対象者に損があることは絶対ないようにしてる。それは大前提。

だけど、得があるかどうかまでは考えてない…。ごめんなさい。

損か得かっていうよりも…番組を作るために必要だから取材するのであって

それ以上でも以下でもないんだよな。

『今夜のメニューはカレーにしよう』って決めたら迷わずニンジンを買うのと一緒で。

ニンジンにとってカレーというメニューが損か得かまで、考えてない気がする。

って、語弊がありそうですが。

決して横柄な態度で取材するというのではなく

もちろん先方に迷惑がかからないように取材するのは大前提のことだし

(自分たちが世の中的に迷惑な存在だってことは自覚してますよ)

(マスコミ関係者って明かしたら部屋を借りられないとかよくあったしね)

できれば取材対象者がチャーミングに映るように番組を構成したい。

その後の編集やナレーション作業も加えてね。

別に『タダでネタ拾ったぜ、ラッキー』みたいなことも思ってないし

『取材してやんよ!』みたいなことでもないんだけどな。

でも。

確かにテレビ屋の時間軸って非常識なところがあるから。

彼が言っていたのは別に損得勘定の問題ではなく、よくよく聞いたら

『休日の早朝から電話してくるとか、やり方おかしくない?』

ってことだったんだけど。

そんなアポの取り方してたら、誠意が伝わらないでしょ?ってことだった。

確かにそうなんだよね。

それは、私たちの世界が悪い。反省すべきこと。非常識だって言われる原因。

その辺を突かれて、なんか自分の仕事が否定された気持ちになって

すごく悲しくなったりしたんだけど、

それはその指摘が図星だったからなんだろうな。

とりわけ、私は仕事の中で生きている時間が長いから

仕事を否定された(と思ったら)、自分自身が否定されたみたいな気持になって

異常に哀しくなるし思考停止する。

本当は理解してもらえるように努力しなきゃいけないのわかってるけど

今は、無理だ。ごめんなさい(ほらね、思考停止してるからすぐ謝る)。

自分の生きてる世界の常識が、ついつい世の中の常識だって考えがちだけど。

テレビ業界じゃない人にはもちろん、

私たちの仕事のやり方や時間の流れはわからないし

逆に私だって他の業界の仕事上のマナーやルールを知らない。

よその業界の時間軸だって知らない。

(未だに旦那ちゃんの働く自動車業界の特殊な時間軸は謎だし。)

自分の常識を押し付けずに、他人と理解を深めることの難しさを改めて考えました。

言葉を重ねれば重ねるほど、お互いに分かり合えると思ってたけど。

言葉を重ねれば重ねるほど、乖離していくこともあるんだなと思った。

言葉なんか、おぼえるんじゃなかった。

なんてね。

今まで考えてたこともなかったことをじっくり考えるきっかけをくれて、ありがとう。

おちこんだりもしたけれど、私はげんきです。

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