あなたに出会ったのは、小学校の図書館の片隅でした。

当時、10歳だった私は

『てらやましゅうじ』と聞いてもピンと来ず

古臭い文体の文章はチンプンカンプンでした。でも、

『なみだは 

 にんげんのつくることのできる

 一ばん小さな

 海です』

この詩を読んだ時、なんだか妙に納得したのを覚えています。

でも、私は寺山さんの文学を言葉を忘れて大人になっていました。

再び寺山さんの文学に出会ったのは、今の主人と結婚してからです。

彼の中で、突然あなたのブームが起こり、

我が家にはあなたの本があふれました。

私たちは毎日のように寺山さんの本を読み、ラジオドラマを聞き、

あなたの言葉の海に溺れていきました。

大人になった今、私はあなたと同じように

言葉を紡ぐ仕事につくことができました。

でも、本当の意味で私は言葉を紡ぐことはできていないような気がします。

私はただ、言葉の交通整理が他人より少しだけ得意なだけなのではないかと

思うのです。

本質的に、自分の言葉で、自分が生んだ言葉で勝負をしていない。

そんな気がするのです。

でもいつか、あなたのように誰かの心に残る言葉を

紡げるようになればいいなと思います。

そのために、書を捨てて街にでます。

でも、家出はしません。いや、いつか家出もしてみようと思います。

では、とりあえずご挨拶まで。

かしこ。

P.S

ブログをよんでくださったみなさま。

独りよがりな文章ですみません。でも、今、書いておきたかったのです。

写真は、去年の旦那ちゃんへのお誕生日プレゼント。

寺山修司Tシャツです。