家族5人で泊まり、夜が明ける。

看護師さんが朝の回診に来てくれて脈を診たら…なんとまたまた脈が復活!

尿もよく出てる!!

先生も『もう予測が不可能なので家族も自由に過ごして下さい。』とおっしゃる。

ず〜〜〜っと緊張状態でいると家族の方も疲れてしまうので、先生はそれを心配してくれた。

朝、母と兄と妹が朝ご飯を食べに行く間、私がお留守番。

そうしたらなんか立派なネコが遊びにきてくれた。

個室に入ってからやっぱり変化のない生活を送ってきた父は、いつもいつも

『ネコでも遊びにこないかなぁ』と言っていたので、やっとネコが来てくれて私は興奮!

父のベッドを起こし、窓を開けてネコを見せる。

あんまり意識がないけど、少しだけ笑ってくれた気がする。

そうこうしていたら母と兄と妹が戻ってきて、またまた大騒ぎしてネコを見せる。

とにかく朝からネコで大興奮。

この朝、これまで便がほとんど出なかった父の便が止まらなくなる。

尿もすごく出る。私たちは『腸の機能が回復したのかしら!』なんて能天気に興奮してたけど

今考えるとこれは死の前兆だったんだろうなぁ。いろんな力が入らなくなっていたんだろうね。

でも、そんなことわからないし先生にも『少し肩の力を抜いてください』と言われたので

昼間、母と妹はお風呂に入るため家に。

私は夜の徹夜仕事に備えソファーで仮眠。

兄に付き添いをお願いするけど何かあるたびに起こされる(笑)。

午後3時ごろ、後ろ髪をひかれながら病院を出て東京へ。母と妹が戻ってくるまで兄が一人で付き添い。

兄は不安そうだったけど、兄にとってもこの付き添いの時間はとても意味があったと思う。

東京に戻るなら一度、新宿の自宅に行こうと思ったけど病院を出る時間が遅くなったのと

千葉から新橋までって総武線で一本で行けちゃうので、お風呂さえ入れればなんでもいいんなら

わざわざ自宅に行く必要はないと思って銀座の銭湯へ。

(ADを経験しておいて本当によかったと思う。こういう発想ができちゃうからねww)

銭湯で気持ちよくお風呂に入り、オロナミンCを飲みながら汐留のテレビ局に到着したところで

妹からLINEが。父の意識がないという。

え!?マジ!?

ってか、いまーーーーーーーー!?

あんなにずっと病室にいたのに、今なの!?お父さん!?

すぐに作家仲間のザッキーに連絡して今日の徹夜を変わってもらうことをお願いし

プロデューサーさんに電話して、今日の仕事は休むことを伝え再び総武線に飛び乗って千葉へ。

遠い、遠い、遠い。

っていうか、お父さんの危篤ってなんで毎回私が新橋にいる時なんだ!!!

電車に乗っているあいだ『なんでよりによって今なの!?』って思ったけど

それよりも、仕事が忙しくて私ほど自由には病院に来れなかった兄と妹がいる時でよかったと

思いました。だって私は、たくさんたくさんお父さんと時間を過ごせたもの。

タクシーに乗って父の病院についたら…父は息を引き取っていました。

泣きました。

こんな日が来るって覚悟はできていたけど、冷たくなった父を信じられない。

返事もしない、目ウンコも鼻ウンコもださない。水も飲んでくれない。

なんで!!!なんで!!!なんで!!!!!!!!!!!!!!!!

父は本当に急変だったようで、本当に穏やかに息をひきとったそうです。

苦しまなかったなら、それはよかった…。

私が着いたところで、先生がやってきて死亡宣告をされました。

病院の先生は、私がずっとずっと一緒にいたことを知っていたので

『死亡宣告は上のお嬢さんが来てから』と待っていてくれたのです。

だからそれまでは、とにかく声をかけ続けてくださいと言われ

母と兄と妹は必死で父に声をかけていたそうです。

父が緩和病棟に入院してから本当に本当に密度の濃い時間を過ごすことができました。

父がいないことが未だに信じられない時もあるし

今だって、緩和病棟に行ったら寝て待っていてくれそうな気がしちゃうけど。

やっぱりもう、会えないんだよな。

それって、すごく…悲しい。

後悔は全然してないけれど、自分がこんなにも父親を好きだったことに驚いている。

もっと一緒に旅行に行きたかったなぁとか

ぶどう狩りの日に買ったワインを2人で飲むって約束したのになぁとか

家族みんなでXmas会しようねって言ったのになぁとか

『後悔』とはまたちょっと違って『願望』みたいなものはいっぱいある。

でもね、強がりでもなんでもなく本当に後悔はしていないんです。

だって、私たち精一杯やったもん。

そして、あの最後の夜の持つ意味が本当に大きい。

ここまでずっと父との日々について書いてきましたが、読んでくださったみなさん

ありがとうございました。

父がこの世に残してくれた『私』を大切にしながら、生きていきます。

お父さん、大好き。

お父さん、もっと一緒にいたかった。

お父さん、ありがとう。

私、仕事よりの何が大切かちゃんと判断できたよ。

えらいでしょ??お父さん、褒めてよ。ちゃんと褒めて。

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